空中ディスプレイ技術の「東超科技」が資金調達、非接触操作やメタバースへの活用で黄金期迎える

インタラクティブな空中ディスプレイを開発する「東超科技(Easpeed Technology)」がこのほどプレシリーズBで1億元(約19億円)を調達した。鼎元資本の単独出資で、資金は製品開発や販路構築、市場開拓に充てられる。
東超科技は2016年に設立され、インタラクティブな空間結像技術の独自開発に特化してきた。創業者の韓東成氏によると、これまでの投影方法は壁やスクリーンなどの媒体があって初めて成り立つものだったが、東超科技の開発した空中結像技術は媒体を必要とせず、ライトフィールド再構成の原理に基づき、レンズを用いて発散光を空中で収束させることで結像させる。さらにセンサーと双方向制御技術を組み合わせて、人と空中の映像とがじかに関われるようになっている。
近年、結像分野での技術的成果は多くがパラメーターに反映されていると韓氏は考えており、そのうちの一つはディスプレイの性能が向上したこと、もう一つは結像時の解像度が向上したことだという。
その後コロナ禍が到来し、人々がエレベーターや医療機関、公共交通機関など公共の場でモノに触れることのリスク、つまりモノを介して感染することの危険性を重要視するようになり、「非接触」に対する需要が爆発的に膨らんだ。
実用化シーンとしては主にエレベーター、医療機関、新エネルギー車などの分野で、非接触型のエレベーター操作パネルや自動受付機、プロンプター、プロジェクター、スマートホームなどを想定している。
製造業の高度化を目指す中国の産業政策「中国製造2025」の推進が進み、特に5GやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、メタバース産業が盛り上がる中、インタラクション可能な空中結像技術は成長の黄金期を迎えると韓氏はみている。
将来的には金融分野やスマートホーム業界でも同社技術の活用を進めていくという。さらに車載ディスプレイに関しては、ディスプレイモジュールメーカーの「偉時電子(Ways Electron)」と共同で空中ダッシュボード、スマートコクピット、インフォテイメントディスプレイなどを開発中だ。自動車メーカーとは「長安汽車(Changan Automobile)」「BYD(比亜迪)」「吉利汽車(Geely Automobile)」などの国内企業のほか、独フォルクスワーゲンなど海外企業との提携も進んでいる。
東超科技の主要創業メンバーはいずれも中国科学技術大学の出身で、現在はおよそ200人からなる開発部署、マーケティング部署を有している。
(翻訳・山下にか)原文はこちら

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