2022.03.07
スタートアップ・エコシステムとは?政府の取り組み、日本国内の事例を解説します

現在は全国に1万社を超えるスタートアップ企業が存在するとされ、政府によるサポートも少しずつ行われるようになりました。
そのうちのひとつにスタートアップ・エコシステムがありますが、具体的にどのような取り組み・サポートが行われているのかは分かりにくいでしょう。
この記事では、政府主導のスタートアップ・エコシステムの取り組みを分かりやすく解説し、日本国内における事例と併せてご紹介します。
目次
- スタートアップ・エコシステムとは?・日本はスタートアップ・エコシステムで大きく後れをとっている
- 政府が主導するスタートアップ・エコシステムの取り組み・スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成【内閣府】
・グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業【経済産業省】 - 日本におけるスタートアップ・エコシステムの事例・グローバル拠点都市
・推進拠点都市 - まとめ
スタートアップ・エコシステムとは?
スタートアップ・エコシステムとは、大企業や公的機関、あるいは大学の研究機関などがネットワークを組み、スタートアップの創出と発展を目指すシステムです。
日本では2019年からスタートアップ・エコシステムへの取り組みを本格化させており、スタートアップ企業への支援を行う大企業が増加しています。
日本はスタートアップ・エコシステムで大きく後れをとっている
スタートアップの聖地ともいえるアメリカ・シリコンバレーでは、自然発生的にエコシステムが形成されていますが、日本のスタートアップ・エコシステムは大きく後れをとっています。
ただし、政府による取り組みの強化によってスタートアップの育成環境は改善しており、2021年9月の調査では、東京が前年度の15位から大きく評価を高めて9位に浮上しました。
政府が主導するスタートアップ・エコシステムの取り組み
政府が主導する取り組みは、内閣府によるものと経済産業省によるものの2種類です。
順番に、政府の公式サイトよりも分かりやすく解説します。
スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成【内閣府】
スタートアップ・エコシステム拠点都市形成プランの公募を行ったうえで、集中支援を実施しています。
拠点都市は「スタートアップ創出倍増」などの目標を掲げ、地方自治体や大学、民間組織が起業家育成や投資といった形でサポートし、さらに政府がそれらの組織を支援するという流れです。
政府では「世界的ピッチコンテスト開催」「各省庁の支援とのつなぎを強化」「起業手続きの一本化」など、あらゆる支援を実施し、事業規模約1,200億円の投資を行っています。
グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業【経済産業省】
経済産業省では、スタートアップ・エコシステム強化事業を実施する委託先の公募を行い、集中支援を実施しています。
公募によって選出された企業は、日本国内各地域の拠点都市に加え、世界中の投資家・大企業とマッチングの機会を創出する「Global Startup Connection+Regional」への参加が可能です。
日本のスタートアップ企業への海外投資家による投資を呼び込む機会となり、オープンイノベーションの促進や、日本流イノベーションカルチャーの育成を目指します。
日本におけるスタートアップ・エコシステムの事例
ここからは、政府が支援するスタートアップ・エコシステムの事例を解説します。
グローバル拠点都市と推進拠点都市の両面からみていきましょう。
グローバル拠点都市
グローバル拠点都市は、シリコンバレーをモデルにしたスタートアップ・エコシステムの整備を目的に設置され、海外からの投資・人材誘致の促進をはじめとした支援を実施しています。
JST(科学技術振興機構)において、スタートアップ・エコシステム拠点都市において中核となる大学・機関によるプラットフォームを公募し、スタートアップが持続的に創出できる体制作りを実施中です。
2021年にはスタートアップ・エコシステムランキングで東京都が世界第9位にランクインするなど、徐々に成果が生まれ始めており、今後のさらなる飛躍が期待されています。
・スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム
国際競争力強化のためのスタートアップ創出・成長促進、また東京都おける経済発展を持続させるためを目的とするコンソーシアムです。
2020年時点で181の企業・組織が参加しており、そのなかには東京大学の研究チームも含まれています。
・Central Japan Startup Ecosystem Consortium
愛知・名古屋および浜松地域における持続的な経済成長を目的として、愛知県・名古屋市・浜松市・名古屋大学などが連携して誕生したコンソーシアムです。
合計172の団体・企業・大学によって構成されており、トヨタ自動車のお膝元という地の利を生かし、主に製造業におけるエコシステム構築の実現を目指します。
・大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム
京阪神によって連携・連動したコンソーシアムで、各地域が持つ共通点の強みを生かしながら、都市の枠を超えたエコシステムの構築を目指しています。
特に京阪神の強みである、「ものづくり」「バイオ」「ヘルスケア」「ライフサイエンス」といった分野を中心に活動中です。
・福岡スタートアップ・コンソーシアム
福岡市では、2012年に「スタートアップ都市ふくおか」というスローガンを掲げており、スタートアップカフェの設置といった活動を行ってきました。
グローバル拠点都市として選出されて以降は、大学・研究機関、オブザーバーを含めた60以上の企業・団体により、スタートアップ・エコシステムの確立に向けた取り組みを実施しています。
推進拠点都市
推進拠点都市とは、政府からグローバル拠点都市に準ずる支援を受けられる地域で、合計4つの地域が認定を受けています。
支援内容には差が生じているものの、これから取り上げる地域もスタートアップ・エコシステムに対して協力的な地域ばかりです。
・札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会
行政・大学・民間組織等の関係機関が一体化することで、札幌・北海道からスタートアップ創出・成長に向けた拠点を形成し、イノベーティブな札幌・北海道を実現させることを目指す推進協議会です。
2022年現在、札幌市や北海道大学、札幌商工会議所といった団体を中心に、合計33の地元団体・機関が協議会参画機関名簿に名を連ねています。
・仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会
国内外の課題解決を目指すスタートアップ企業の支援を主な目的として、連続的なエコシステムを生み出すことを目指す推進協議会です。
スタートアップ支援においては、産学官金による連携で支援を実施しており、意見交換を活性化させるためのプラットフォームを設けていることも特徴といえます。
・広島地域イノベーション戦略推進会議
地域に根付いた企業・大学・金融機関・行政が絶え間なくイノベーションを創出することにより、スタートアップの好循環を目指しています。
平和への想いをエネルギーに変換してきた広島という都市の強みを生かしながら、多様な人材を集める拠点としての交流を進めている最中です。
・北九州市SDGsスタートアップ・エコシステムコンソーシアム
SDGs未来都市の実現を目標として、主に環境・ロボット・DX分野に焦点を当てたスタートアップ・エコシステムを形成するコンソーシアムです。
北九州学術研究都市の研究機関との連携を軸に、新しい技術の実証フィールドを提供し、スタートアップ企業の活躍の場を創出しています。
まとめ
スタートアップ・エコシステムとは、大企業や大学、公的機関などが連携をとり、スタートアップ企業を支援するシステムです。
日本は海外と比べて後れをとっていましたが、グローバル拠点都市と推進拠点都市を4つずつ選定して強化にあたり、着実な成果を残しています。
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佐賀県基山町字宮浦
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