孫正義氏、追い続けるロボットの夢 「スマボ」に積極投資

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は9月、グループとして次世代AIロボット「スマボ」を支援していく方針を発表した。スマボはスマートとロボットを掛け合せた造語で、自ら学んで進化するロボットという意味だ。
孫氏は2014年に人型ロボットPepperをお披露目し、その3年後に米ロボット会社ボストンダイナミクスを買収した。
しかし、Pepperとボストンダイナミクスはその後順調にはいかなかった。Peppeに関しては今年、生産停止や部門の人員削減が明らかとなったほか、ボストンダイナミクスも現代自動車に売却してソフトバンクGの保有株式は20%にまで減少、一時はソフトバンクGがロボット事業を縮小するとのうわさまで流れた。
しかし、スマボの発表でうわさを直接打ち消した形だ。孫氏のロボットの夢はますます膨らんでいる。
ソフトバンクGは、傘下のファンドを通じて18社のロボット関連企業に投資している。特に今年、孫氏は中国企業を有望視して相次いで移動ロボットメーカー「YOUIBOT(優艾智合)」、AIロボットシステム開発「思霊機器人(AGILE ROBOTS)」、配膳ロボット分野の大手メーカー「KEENON ROBOTICS(擎朗智能科技)」に投資し、資本家の立場から各企業の成長を支援している。
スマボの企業軍団をつくる
Pepperとボストンダイナミクスの商業化路線が難航したことで、ソフトバンクGはロボット戦略の方向性を変更。直接ロボット開発や製造に関わるよりも、今後は関連企業に投資する形でロボット分野に関わっていくのだろう。孫氏は「自ら経営するよりも、今後は資本家の立場で各企業の成長を支援する」と述べている。
孫氏はソフトバンクGのロボット分野への投資に自信を示している。
孫氏は日本経済新聞の取材に対し「投資先は自動運転から手術、清掃、倉庫など各分野を網羅しており、最先端のスマボ企業軍団をつくった」と話している。
ソフトバンクGの投資は、公式資料によるとAI関連のユニコーン企業が約300社、うち直接ロボットと関係があるのは18社だ。

ソフトバンクGに一貫している投資戦略は、独創性のあるスタートアップに巨額の資金を投じ、巨額のリターンを狙うというもの。現在物流ロボットや配膳ロボットはますます成熟してきており、Pepperやボストンダイナミクスに比べると、これらの分野への投資はリターンを得やすいことは明らかだ。
ロボット業界全体の未来について孫氏は、ガラケーからiPhoneに交代したように、AIロボット産業が事前プログラムで動く従来型ロボットに全面的に取って代わるとみる。
それゆえ、ソフトバンクGは今後も商業化が見込め、応用シーンが明確なAIロボットに重点的に投資するだろう。
作者:「智东西(WeChat ID:zhidxcom)」
(翻訳・二胡)
原文はこちら

東京都渋谷区
2010年に北京で設立された36Kr社は、中国最大のテックメディア。 ハイテク企業、VC及び投資関係者に対して、全世界のイノベーション企業に関する綿密な調査、 分析に基づいた最先端のテクノロジー情報を提供している。2019年ナスダック上場とともに、日本経済新聞社と業務提携し、中国マーケットを越えてアジア全域のイノベーションエコシステムの構築に貢献しています。
https://36kr.com/
36Kr Japanは、中国のイノベーション情報を日本へ発信していくほか、日本企業向けに、中国をはじめとするアジア各国とのビジネスマッチングサービス、海外進出・新市場開拓支援などを行っています。
https://36kr.jp/
