中国のモバイルゲーム、世界で存在感増す

韓国で9月に突如話題を呼んだ中国発の美少女系ゲームをめぐり、経済紙・韓国経済新聞は「中国のゲームは韓国市場への攻勢を強めている」と報じた。そのゲームは動画配信大手ビリビリ動画(bilibili)傘下のビリビリゲーム(嗶哩嗶哩游戯)が代理運営する「フィギュアストーリー(高能手辦団)」で、プレーヤーがフィギュアのコレクターとなって収集や育成をしながらストーリーを進める放置系RPGだ。
同タイトルは韓国で9月14日にリリースされると、同国のApp Storeダウンロード数ランキング1位を獲得し、その後もApp StoreセールスランキングとGoogle Playダウンロードランキングの上位に顔を出している。また、「MU(ミュー) Archangel2」と互角に渡り合っていることも注目される要因だ。MUシリーズは2000年頃の韓国で当時のゲーム市場を独占していた「リネージュ」からシェアを奪ったWebzenのMMORPGで、Archangel2はその最新作だ。
中国のゲームは韓国だけでなく他国でも優れた実績を残している。
日本、東南アジア、米国
課金ゲーム大国の日本は多くのゲーム企業が夢見る市場だ。
しかし、日本はゲーム業界にとって「難しい市場」とも言える。任天堂やソニーなどを生んだ市場で、家庭用ゲーム機が広く普及している。コンテンツ生産大国でもあり、特にアニメ系ではポケットモンスターやドラゴンボールといった代表的IPが立ちはだかる。日本のプレーヤーは世界の中でも保守的なタイプに属し、よそ者が参入するのは簡単でない。
米モバイルアプリ調査会社Sensor Towerによると、日本の今年第2四半期のモバイルゲーム売上高は45億8000万ドル(約5200億円)、うち中国企業のモバイルゲームは全体の25%に当たる8億5000万ドル(約970億円)に上った。日本の同時期のセールスランキングTOP100に中国企業のモバイルゲームは29本がランクインした。
日本に進出する有力な中国のゲーム企業はネットイース(網易)だ。同社の「荒野行動」はデバイスが高スペックでなくても対応でき、スマホの買い替えペースがゆっくりな日本の消費特性に合うことから日本のバトルロイヤル系モバイルゲームで最も人気があり、第2四半期の売上高は1億2000万ドル(約140億円)近くに上った。同様に「明日之後(ライフアフター)」も人気を博している。
さらにmiHoYo(米哈遊)の「原神(Genshin)」、Happy Elements(楽元素)の「あんさんぶるスターズ!!Music(偶像夢幻祭)」、37GAMES(三七互娯)の「Puzzles & Survival~パズル&サバイバル(末日喧囂)」、テンセント(騰訊)の「白夜極光」、霊犀互娯(Lingxi Games)の「三國志 真戦(三国志・戦略版)」のほか、Moonton(沐瞳科技)、Archosaur Games(祖龍娯楽)、ビリビリ動画のゲームが上位にランクインしている。
東南アジアはアジア文化圏に属しているが、島国が多いことからそれぞれプレーヤーの習慣が大きく異なるという特徴がある。業界の勢力図も相対的に分散しているため、中国のゲーム企業にチャンスをもたらしている。中国のゲーム市場調査会社伽馬数据(CNG)によると、東南アジアモバイルゲーム市場の今年1~6月の売上高において、中国企業によるオリジナルタイトルが占める割合は46.4%だった。
東南アジアモバイルゲーム市場、今年1~6月の中国企業によるオリジナルタイトルの割合(左が本数、右が売上高)
さらに「原神」、IGGの「ロードモバイル(王国紀元)」、Magic Tavern(麦吉太文)の「Project Makeover」などもユニークな特色を生かして米国のゲーム市場でシェアを握っている。
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(翻訳・神戸三四郎)

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